セトウツミ

(監督:大森立嗣/主演:池松壮亮、菅田将暉/2016年)

 

池松壮亮と菅田将暉。この2人が主演だなんて、おもしろいに決まってる。公開当時、見よう見ようと思って叶わなくて、満を持して見られてうれしい。Amazonプライム様、ありがとう。

 

同名のマンガが原作らしいのだが、よく、これで物語が成り立つものだ。すごい。だって、9割型、男子高校生2人が放課後に河原で食っちゃべっているだけなのだから。

 

そして、よく、これを映画にしようと思ったものだ。みんなが大好きな「THE映画」って言ったら、ワクワクドキドキするようなことが次々に巻き起こって、大画面で見るべき迫力のシーンなんかがあるよね。

 

いやぁ、これだけ絵替わりがないのにもかかわらず、飽きなくて、あっという間に見終わってしまうって、奇跡だと思う。

 

原作ファンのAmazonレビューを見てみると、皆、一様に褒めている。「あの世界観を再現できるなんて」と。脚本と演者の力、おそるべし。

 

舞台は関西のとある高校…の近くの、川沿いの遊歩道。池松壮亮演じる「内海」と、菅田将暉演じる「瀬戸」が遊歩道の階段に腰掛けて、家族のこと、好きな子のこと、怖い先輩のことなど、他愛のないことをグダグダ話す。

 

どこか冷めている秀才の内海、お調子者で天然キャラの瀬戸。正反対のふたりのキャラクターの対比が、ただの高校生男子のコミュニケーションを、ユニークなものにしている。


独特の間、大爆笑まではいかないけど絶妙なレベル感のボケとツッコミ。何度もクスクス笑えて、そのゆるさに知らぬ間に魅了されていって。そこらの売れない芸人の漫才よりも確実におもしろいと思った。

 

全身ヒョウ柄の母親、アル中の父親、ボケて徘徊癖のある祖父、余命わずかと言われながらも2年半も生き延びている愛猫みーにゃん。たまに出てくる瀬戸家の個性豊かな家族たちが、物語にさらなる笑いをプラスする。

 

お寺の娘という設定の学校のマドンナと、理不尽に2人を攻撃するヤンキー先輩も、とってもいい味を出していて、どのキャラクターも愛おしい。


また、映画なのに、およそ10分の短編に分かれているのも斬新で良い。とにかく、今まで見たことのないスタイルの映画。そして、主演の2人の役者としての力を見せつけられる映画。

 

2017年にドラマ化されて、内海を高杉真宙が、瀬戸を葉山奨之が演じているのだが、すごい先輩たちがハードルを上げまくったものをやらせるのは気の毒だ。


ちょうど、藤原竜也と松山ケンイチでやった後に、窪田正孝と山崎賢人がやらされたデスノートのように。

 

「映画よりドラマの方がおもしろい」と書いてる人もいて、気になって見てみたが、ごめん、15分も見られずにやめてしまった。でも、彼らは悪くない。先輩方がすごすぎるのだ。

 

原作マンガに俄然、興味がわいた。買っちゃおうかなー!